結婚したい、と思い立ったとき、多くの人はまず結婚相談所の資料請求をしたり、マッチングアプリをインストールしたりします。 もちろん、行動することは素晴らしいことです。しかし、何の準備もなしに「出会いの海」に飛び込むのは、地図を持たずに航海に出るようなもの。
「たくさん会っているのに、ピンとこない」 「最初は楽しかったけれど、だんだん疲れてきた」 「自分が誰を選べばいいのか分からなくなった」
これらは、いわゆる「婚活疲れ」の典型的な症状ですが、その原因の多くは「出会いがないこと」ではなく、「準備不足」にあります。
大切なのは、走り出す前にコンパスを持つこと。 今回は、本格的な活動を始める前に、週末のカフェでコーヒーでも飲みながら整理しておきたい「3つの自己分析」についてお伝えします。これらを明確にしておくだけで、あなたの婚活は驚くほどスムーズになり、無駄な傷つきを回避できるようになります。
1. 「いつまでに」というゴールテープを設置する
仕事のプロジェクトには必ず納期がありますが、婚活となると「いい人がいれば」「いつかは」と期限を曖昧にしてしまいがちです。 しかし、期限のない目標は、往々にして先送りされます。特に結婚相談所やアプリでは、選択肢が無限にあるように錯覚してしまうため、「もっといい人がいるかもしれない」という迷路に迷い込みやすくなるのです。
まずは、「いつまでに入籍したいか」を具体的に決めましょう。 例えば「1年後の自分の誕生日まで」と設定します。そこから逆算すると、やるべきことが見えてきます。
1年後に入籍するなら、10ヶ月後にはプロポーズされている必要があります。 そのためには、半年後には真剣交際に入っていなければなりません。 ということは、最初の3ヶ月で集中してお見合いやデートを重ねる必要があります。
このようにスケジュールを引くと、「今、のんびりメッセージのやり取りだけをしている場合ではない」と気づくことができます。この逆算思考が、だらだらと続く婚活を防ぐ最初の一手です。
2. 「譲れないもの」と「あったらいいな」の仕分け
理想の相手の条件を書き出してみてください、と言うと、あれもこれもと多くの条件が出てくるものです。 年収、外見、年齢、身長、学歴、趣味、家事能力、優しさ、誠実さ……。
すべてを満たす人がいれば最高ですが、完璧な人間はこの世に存在しません。条件を絞りきれていないと、些細な欠点が目につくたびに「減点方式」で相手をジャッジしてしまい、結果として誰ともうまくいかなくなります。
そこで有効なのが、条件の仕分け作業です。書き出した条件を、次の2つに分類してください。
Must（必須条件）： これがなければ、結婚生活が絶対に破綻する、生理的に無理、というレベルのもの。 例：借金がない、タバコを吸わない、話し合いができる、など。
Want（希望条件）： あれば嬉しいけれど、なくても幸せに暮らせるもの。 例：身長175cm以上、有名大学卒、リードしてくれる、など。
重要なのは、Must（必須条件）を3つ程度に絞り込むことです。 そして、Want（希望条件）に固執しないと決めること。
実は、成婚した多くのカップルが「会ってみたら、当初の希望条件とは違ったけれど、この人だと思った」と語ります。条件はあくまで入り口のフィルターです。ガチガチに固めすぎず、間口を広げておくことが、良縁を逃さない秘訣です。
3. 自分の「市場価値」と「強み」を客観視する
就職活動で自分の強みをアピールするように、婚活でも自分の見え方を理解しておくことが重要です。これは「自分を安売りする」ということではなく、「相手から見て自分がどう魅力的に映るか」を知る戦略です。
自分の年齢、職業、外見の雰囲気、性格などを客観的に見つめ直してみましょう。
例えば、バリバリ働いている女性であれば、「経済的に自立していて頼もしい」「話題が豊富」という強みがある一方で、男性によっては「隙がない」と感じるかもしれません。 であれば、プロフィール写真では柔らかい色の服を選んだり、自己紹介文で「休日は家でのんびりするのが好き」と家庭的な一面を見せたりすることで、バランスを取ることができます。
また、自分の弱みを知っておくことも大切です。 料理が苦手なら、「料理は勉強中ですが、掃除と整理整頓は得意です」と別の強みでカバーすれば良いのです。
自分を偽る必要はありませんが、自分のどの部分を光らせればターゲットとする相手に刺さるのか。それを考えておくだけで、プロフィールの完成度や、お見合いでの振る舞いが劇的に変わります。
準備ができれば、迷いは消える
「いつまでに（期間）」 「どんな人と（条件）」 「自分のどの武器を使って（強み）」
この3つが整理できていれば、いざ結婚相談所やアプリに登録した際も、膨大な会員データに圧倒されることはありません。自分の基準でサクサクと判断できるようになり、無駄なお見合いやデートで消耗することもなくなります。
婚活は、自分自身の人生と向き合う作業でもあります。 焦る気持ちをぐっと抑えて、まずはこの3つのシートを心のなかで埋めてみてください。その準備運動こそが、あなたを最短ルートで幸せなゴールへと運んでくれるはずです。
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